子どもが発熱した時の対処方法

【発熱とは】

発熱とは、ウイルスや細菌と闘うための防御反応により発症します。
熱により体温が上昇することで、ウイルスや細菌の活動が弱まり感染悪化を防ぎます。
また、免疫が活性化され病気から早く回復することにもつながります。
熱が出るということは、病気によって引き起こされた悪い反応ではなく、病気から体を守っている証拠なのです。

高熱が出ると、脳の障害を心配される方も多いですが、発熱だけが原因で脳に障害が出ることはありません。
脳障害の原因となる「髄膜炎や脳炎・脳症」は、発熱の他に「何度も吐く・ぐったりして反応が悪い」などの症状を伴います。
よって、熱があっても元気なら慌てて下げる必要はなく、体温計の数字だけではなく、子どものいつもの様子と比べながら、全体の様子をしっかり観察することが大切です。

【5つの観察ポイント】

①機嫌はどうか
(高熱でも機嫌が良ければ安心ですが、微熱でもぐったりしていたら注意が必要です)
②発熱以外の症状はあるか
(嘔吐・下痢・頭痛・腹痛・発疹など)
③水分が取れているか
(おしっこが出ているか確認する)
④睡眠はとれているか
⑤服装や室内の温度は適切か

【受診の目安】

□生後3か月未満の赤ちゃんの発熱
□ぐったりしている
□水分がとれず、おしっこが出ていない
□呼吸がおかしい
□初めてけいれんした
□「いつもと違う」と感じる

上記のような症状がみられる場合は、すぐに受診ください。
また、発熱が3~4日続いている場合は、元気でも受診してください。

【医師に伝えること】

●いつから発熱しているか
●発熱以外の症状
●水分・食事はとれているか
●普段と比べて機嫌はどうか
●周りに流行している病気
●気になること

家の様子をしっかり伝えることで、正確な診断ができます。

【これだけは聞いて帰ろう】

●症状に対しての診察結果
●家で注意すべきこと
●薬はいつまで飲むか(症状がなくなったら飲まなくていい?飲み切る?)
●どんな時にまた受診するべきか
●夜間や休日でも病院に行くべきなのはどんな時か

家に帰ってから困らないようにしっかり聞いて帰りましょう。

【おうちケアのポイント】

【体温をこまめに測る】
子どもの体温は朝は低く、夕方になると高くなる事が多いです。いつ頃上がったかがわかると受診の際わかりやすいです。
<熱の測り方のポイント>
●脇の汗を拭く(正確な体温が測れない為)
●食後や入浴後、眠いときは避ける(体温が高く出る場合がある為)

【水分補給をこまめに】
脱水にならないように、水分補給はこまめに行いましょう。
授乳中は母乳やミルクをあげてください。
離乳食以降は、経口補水液や乳児用イオン飲料、お茶や湯冷ましなどが良いです。
ただし、嘔吐した時は30分程は水分はあげず、はじめはスプーン一杯程度を5~10分間隔で少しずつあげましょう。
※詳しくはブログの「子どもの嘔吐・下痢について」の記事を参照してください。

【様子を見ながら温度調節を】
熱が高ければ、すぐ冷やさなければ!と思いがちですがそれは間違いです。
まず子どもの手足を触ります。

<手足が冷たい>
まだ熱が上がるサインで寒気を感じているので、布団や毛布などをかけて暖めましょう。
<手足が熱く顔も赤い>
熱が上がりきっているため、掛物を薄くし薄着にして熱を発散させましょう。
嫌がらなければ「首・わきの下・足の付け根」を冷やす(嫌がるようならしなくても良い)。
おでこを冷やすのはあまり効果はなく、むしろ窒息の恐れがあるため、寝る時や子どもから目を離す時はやめましょう。

汗をかいたら、こまめに着替え室温も適宜調整しましょう。

【食事はおなかにやさしいものを】
熱が出ても食欲がある子もいますが、基本的に油っぽいものは控えて、胃腸に負担がかからないものを食べましょう。
離乳食を進めている子は、熱の間は無理せず休むか、一段階戻すくらいで大丈夫です。
本人が食べられそうなら食べて良いですが「嘔吐・嘔気」がある時はやめましょう。

【おふろは無理にはいらなくてもOK】
お風呂は体力を使うので、熱があり、ぐったりしている場合は無理に入れないで大丈夫です。
汗をたくさんかいているなら、温タオル(水でしぼって電子レンジで1分程チンする)で拭くか、シャワーで流してあげてください。

【解熱剤の使い方】

【解熱剤とは】
病気を治す薬ではなく、熱を下げて一時的に身体を楽にする薬です。
「熱が高いから、すぐに使わなければ!」という人や、熱は病気と闘っている証拠だから、「解熱剤は絶対使わない!」と思っている人はいませんか?
解熱剤を必要な時にうまく使って、しっかり体を休ませてあげましょう。

【解熱剤を使う時】
38.5度以上の熱でぐったりしている時
38.5度以上の熱でも、機嫌が良かったり、ぐっすり眠れているなら使わなくても大丈夫です。

【解熱剤を使う時のポイント】
□熱が上がり切ってから使う(寒気を感じている時はまだ上がりきっていません)
□生後6ヶ月未満の赤ちゃんには使わない(体温調節機能が未熟なため)
□用法用量を守る(0.5~1℃くらい下がっていれば十分効いています。一回使ったら5~6時間はあける)

【解熱剤を使うタイミング】
熱が下がって少しでも食べられるように・・・ゆっくり眠れるように・・・を目指しましょう。

●30分ほどで効きはじめる
●2~4時間で一番効果がみられる
●次使うまで5~6時間空けなければならない
などを踏まえて、ご飯や寝るタイミングで効果が出るように使えるといいです。
しかし、しんどそうなら難しいことは考えないで、すぐに使いましょう。